中古マンションは
アスベスト調査が
必要か
アスベストは、発がん性が認められており、中皮腫や肺がんなどを引き起こすきっかけにもなる危険な物質です。
アスベストの使用は2006年に全面的に禁止されていますが、2006年以前に建てられた建築物であれば、中古マンションなど一般住宅でも改修工事や解体工事の際にアスベストの事前調査をする必要があります。
賃貸契約や売却時のトラブルを避けるためにも、アスベスト調査の実施有無は確認しておいた方が良いでしょう。
アスベスト調査は
いつから義務化する?
2022年4月1日に施行された改正法によって、一部例外を除くすべての建物に対して、アスベストの事前調査は義務化されています。
そのため、これから始める改修工事や解体工事については、中古マンションであってもアスベストの事前調査が必要です。
自治体によっては、補助金が出るので、確認のうえ活用してみてください。
アスベストによる
賃貸責任はある?
万が一、賃貸物件でアスベストによる健康被害が起こってしまうと、民法第717条の「土地の工作物等の占有者及び所有者の責任(土地工作物責任)」に基づき、賃貸人に賠償責任が生じることになります。
アスベストが飛散してしまう状態にあったことは「瑕疵(かし)」であり、瑕疵物件を提供したと捉えられるのです。
マンションの賃貸契約を結ぶ前に、まずはアスベストの調査をすることが身を守る第一歩と言えます。
アスベスト調査をしないと
リスクがある?
該当の物件に居住する場合には、健康上のリスクがあります。
該当物件が万が一アスベストを使用した建物で、アスベストが飛散してしまう状態だと、中皮腫や肺がんといった疾病にかかる可能性が高まります。
また、賃貸や売却を考えている場合、後にアスベスト使用が発覚すると、借主や買主とのトラブルに発展する可能性があります。
なお、リフォームなどの改修工事の際には、アスベストの事前調査が義務化しています。調査をしないと罰則の対称となるので注意してください。
中古マンションでの
アスベスト使用有無の調べ方
築年数を調べる
アスベストの使用・製造・輸入・譲渡・提供を全面禁止とした法律が施行されたのが2006年です。
つまり2006年以前に建てられた中古マンションであれば、アスベストを含有した建材を使っている可能性があります。
重要事項説明書で調べる
重要事項説明書は、物件の売買契約における重要な項目が記された書類です。この書類の中には、アスベスト使用の記載や調査履歴の有無が記載されています。
重要事項説明書は、不動産会社に問い合わせることで確認ができます。
設計図書や仕様書で調べる
設計図書や仕様書を確認することで、建築時に使われた建材の商品名や品番からアスベスト含有かどうかを調べることができます。
しかし、中古マンションにおいて設計図書や仕様書を売主が紛失してしまっているケースがあり、問題になることも少なくありません。
国土交通省・経済産業省の
データベースで調べる
国土交通省ホームページ内にある「石綿(アスベスト)含有建材データベース」では、商品名などから、アスベスト含有建材かどうかを調べることができます。
「建材名」「商品名」「製造時メーカー名」「現在メーカー名」「型番」「品版」のいずれかが分かれば簡単に検索が行えます。
設計図書や仕様書で建材について確認できた場合には、ぜひ使ってみてください。
中古マンションで
アスベスト使用があった場合
分譲マンションの場合
アスベストを含有している建材を除去する必要があります。
除去には多額の費用がかかりますが、売主と買主のどちらが負担するか、もしくは折半にするかなどは、売買契約時に交渉するようにしましょう。
賃貸物件の場合
賃貸契約におけるアスベストについては、貸主に責任が生じます。
アスベスト除去の義務は生じませんが、借主から除去要請があった場合には、除去・囲い込み・封じ込めなど、迅速に対応することをおすすめします。
投資用物件の場合
除去の義務は生じませんが、その分借主や買い手が見つかりづらくなる可能性があります。資産価値を高めるためにも、除去作業を行う形が望ましいでしょう。
売却前の
アスベスト事前調査が重要
中古マンションの売却をおこなうのであれば、アスベストの事前調査をしておくことをおすすめします。
中古マンションはリフォームされることも多く、その際にアスベストの事前調査は必須です。買主側からアスベストの使用が発覚すれば、大きなトラブルに発展する可能性も秘めています。
事前調査を実施して、クリーンな形で売却に臨むことで、将来的なリスクを抑えられるでしょう。
調査が必要な場合には
専門業者に依頼しましょう
中古マンションに住む、もしくは中古マンションを売却する、どちらの場合も健康に影響のあるアスベストの有無は重要な事柄です。そのため、解体・改修時ではなかったとしても、アスベスト調査をする意義は大きいと言えます。
アスベスト調査をする際には、専門知識が必要となるため、専門業者に依頼することをお勧めします。
また、専門業者であれば、万が一アスベストの使用が認められた場合でも、スムーズに分析・除去の対応が可能です。