アスベストによる
健康被害
アスベストは命に関わる健康被害をもたらす大変危険なものです。ここでは、アスベストによる健康被害について掘り下げていきます。
アスベストを吸うと
どうなるのか?
アスベストは繊維状の鉱物であり、その繊維1本1本は非常に細く小さなものです。そのため、大気中に飛散しやすく、肺の中に入り込みやすいという特徴を持っています。
飛散したアスベストを吸い込むと、肺の中に繊維状のアスベストが入り込みますが、その場で体調に異変が起きる可能性は低いでしょう。
しかし、肺に入ったアスベストは分解されることなく、肺の中に留まり続けます。
アスベストの危険性
アスベストには、発がん性が認められています。肺の中にアスベストが蓄積されると、10~40年の年月をかけて、肺がん等の重大な疾病をもたらすことが確認されています。
アスベストは非常に小さいため、飛散しても目で確認ができません。そのため、知らない間に吸い込んでしまう可能性もあるのです。
アスベストが使われている危険性のある場所には、近づかないようにすることが賢明と言えるでしょう。
アスベストが引き起こす
症状・病名
アスベストを吸入したことが原因で発症したとされる疾病は複数あります。ここでは、アスベストによって引き起こされる重大な疾病について解説します。
石綿(アスベスト)肺
肺線維症の一つで、肺の組織が繊維化してしまう病気です。中でもアスベストが原因で起こるものが「石綿肺」と呼ばれています。
石綿肺が発症すると現れる症状が、息切れや運動能力の低下です。また重症化すると喘息や呼吸不全に陥ることもあります。
肺がん
アスベストは発がん性が認められており、肺がんを引き起こすと言われています。進行するまで自覚症状がないこともあるので、注意が必要です。
重症化すると胸の痛みやせき、息苦しさなどの症状が出てきます。
悪性中皮腫
悪性中皮腫とは、胸膜・心膜・腹膜など、皮のように表面を覆う細胞層に発生する悪性腫瘍のことを指します。
主にアスベストの吸引で起こるとされており、アスベスト以外が原因で発症することは稀だと言われています。
症状としては、持続する胸痛や息切れがするようになります。また、重症化すると強い痛みや嚥下困難、腕・手の筋力低下および感覚がなくなるなどの症状が現れます。
良性石綿胸水
アスベストが原因とされる良性の胸水のことを指します。胸腔内に水が溜まる病気で、特に症状が現れないことが多いようです。
びまん性胸膜肥厚
肺を覆う胸膜が繊維化してしまい厚く硬化していく病気で、呼吸困難や胸痛を引き起こします。
重症化すると慢性的な呼吸不全に陥ることもあります。
被害者への救済制度
日本では「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律」が制定されており、アスベストにより健康被害を受けた方への給付金制度があります。
病状や罹患者の状態によって区分がされており、区分や合併症の有無によって給付額が変わります。
詳しくは本サイトの「健康被害に関わる給付金制度ページ」をご確認ください。
健康被害の実例
「クボタ・ショック」
アスベストの本格規制のきっかけともなり、健康被害でよく知られているものとして「クボタ・ショック」が挙げられます。
「クボタ・ショック」は、大手機械メーカークボタで起きたアスベスト被害に関する報道のことです。
クボタでは、アスベストを使用した水道管や住宅建材などを製造していた時期があり、その製造作業に関わった従事者の多くが中皮腫や肺がんなどに罹患してしまいました。
また、その地域周辺で、クボタでの職歴がない近隣住民にも中皮腫に罹患したケースが確認され、クボタ側がその罹患者達に対して見舞金の支払いを検討していたことをスクープされたのが「クボタ・ショック」です。
それまでアスベスト問題では、従業員に対しての見舞金はあったものの、近隣住民にたいしての補償は例がありませんでした。
この出来事を受けて、周辺地域にもアスベストの影響があるということが認知され、アスベストの危険性の高さが知れ渡ったのです。
「クボタ・ショック」が起こった翌年、2006年にアスベストの使用を全面的に禁止する法改正が行われたことからも、この出来事の影響の強さが伺えます。
健康被害を起こさないよう、
アスベスト調査を
アスベストが重大な健康被害をおよぼす非常に危険な物質だということを記載してきました。今後、健康被害を起こさないためには、まず所有する建物にアスベストが使われているかどうかの確認が重要です。
これからアスベストの調査を始める場合は、危険性を考慮し専門業者を頼ることをお勧めします。専門業者に調査を依頼することで、万が一アスベストの使用が認められた場合でも、分析・除去までをスムーズに対応してもらえるでしょう。