アスベストの調査方法
建材を特定し、アスベスト含有の有無をハッキリさせることが目的の事前調査。建築物などの解体や改修をする際に必要な調査で、2022年4月1日から調査結果の報告が義務となります。ここでは、アスベストの事前調査の方法や、大まかな費用・日数について解説します。
アスベストの事前調査が義務化された
これまでもアスベストの事前調査は実施されてきましたが、冒頭で述べたとおり、2022年4月1日以降に開始する工事より、調査結果の報告が義務化されました。調査結果の報告が必要な工事は、以下のいずれかに該当するケースで、専用のシステムから報告を行います。
- 解体する部分が80平米以上の建築物の解体工事
- 請負金額が100万円を超える建築物の改修工事
- 請負金額が100万を超える工作物の解体・改修工事
※ボイラーや煙突、発電設備など
もし複数の事業者が上記の工事に携わっている場合、元請業者が他の請負業者に関する内容も含め、報告する必要があります。
石綿事前調査結果報告システムが運用開始
アスベストの事前調査は、専用の電子システム「石綿事前調査結果報告システム」から行うことになります。利用にあたってはGビズIDが必要で、メールアドレスを使用する取得方法と、印鑑証明などを郵送し、所定の手続きに沿って取得する方法があります。システムを利用する前に、いずれかの方法でIDを取得しておきましょう。
アスベストの事前調査の方法
アスベストの事前調査には2種類あります。
書面調査
書面調査とは、発注者へのヒアリングや、書面を元にした調査をいいます。一次調査とも呼ばれています。設計図や竣工図、改修図などが必要で、こうした書類を集めて整理し、情報源からアスベストの有無を読み取る作業を行います。目視(現地)調査をスムーズに行えるよう、準備を整えることも書面調査の目的です。
なお、アスベストが禁止された2006年9月以降に着工した建築物などを除き、書面調査のみではアスベスト含有の有無が判断できないケースもあります。
目視(現地)調査
目視調査は、実際に工事予定の現場へ足を運び、建築物などを目視で調査する方法です。二次調査とも呼ばれることもあります。設計図などの書類ではアスベストの有無が断定できない場合や、アスベストの使用が禁止される以前に着工した建築物などは、目視による調査が求められます。
目視調査では、建材の使用状況を把握し、設計図などの書面と相違がないかを確認します。さらに建材のメーカーや製品名、類似品をピックアップ。現地で確認した建材の情報を元に、アスベスト含有の有無を判断するのが目視調査の目的です。ただし、判定が難しい時は建材のサンプルを入手し、分析調査を実施する場合もあります。
アスベストの事前調査の費用や日数の目安
アスベストの事前調査に必要な費用ですが、安いケースで数万円前後、高い場合は数十万円かかります。基本的に延床面積が広いほど費用が高くなるほか、アスベストのレベルによっても変動します。事前に見積もりを取ることが重要です。
事前調査にかかる日数は2週間〜4週間前後ですが、建築物などの大きさによっては、さらに時間がかかる場合もあります。サンプル採取や報告書の作成も考慮しなくてはいけないため、調査日数の目安は入念な確認が必要です。
事前調査でアスベスト含有の
有無を明確に
アスベストが健康へ及ぼす影響は周知のとおりです。作業員の工事環境を整えるためにも、アスベストの事前調査の重要性は高いといえるでしょう。最終的に作業員の健康を守ることにも繋がりますので、多少の費用・時間がかかっても、しっかり調べてもらいましょう。
いずれにせよ、2022年4月1日以降は調査結果の報告が義務になるため、避けて通ることはできません。作業をスケジュール通りに進めるためにも、早い段階で調査してもらいましょう。